ボディタッチは親しみを伝えたり、相手の不安を取り除く効果的なコミュニケーションです。
17~18世紀のヨーロッパでは、
王様が病人の患部に手を触れることによって、病気が治ると言われていました。
これは信仰療法の一種ですが、
今でも子供が怪我などをすると、
その部分に手を当てるということが行なわれていますし、
治療のことを「手当て」と言うのも、この行動に由来するものです。
「手当て」に明確な治療効果はなかったとしても、
相手に与える心理学的な影響は少なくありません。
それは、
私たちが「タッチング(触れられること)」に敏感で、
感情に強い影響を及ぼすからです。
それは次の実験結果からもわかります。
被験者をA、B、Cの三グループに分け、ある人物に面会してもらいました。
このとき「Aグ ループには目隠しをしたまま会話をしてもらう」
「Bグループ には日隠しをしたまま握手だけしてもらう」
「Cグループには 日隠しも会話もなしで、ただ対面だけしてもらう」
という異なるパターンで面会してもらったところ、
その人物に最もよい印象を持ったのは、Bグループでした。
目隠ししたまま知らない人に会うというのは不安なものです。
しかし、
Bグループの人たちは相手に対し
「温かい心の持ち主だと感じた」
「信頼できる 人という印象を持った」
という好印象を持ち、
さらに半数近い人が「もう一度会ってみたい」と答えたのです。
それに対し、最も悪い印象を持ったのはCグループで、
彼らは相手に対し「冷たい人」「横 暴な人」という印象を持っ傾向がありました。
私たち人間は情報の八割以上を目から得ていると言われていますが、
この実験からもわかるとおり、
心理的影響は目からの情報よりもタッチングの方が強力なようです。
ちなみに、
タッチングの影響を受けやすいのは男性よりも女性です。
つまり女性と親しくなりたいときは身体に触れた方が効果的ということ。
ただし、
セクハラ行為は避けてください。