給料が高い人でも仕事に不満があるのはなぜだろうか?
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高い給料をもらえば人は満足できるのか?

私達の中には、給料が安くて不満だという人もいれば、仕事の内容に不満だという人もいる、会社の待遇が不満だという人もいますよね。

大概は「高い給料さえもらっていれば満足できるのに」とか「我慢できるのに」と言う人は多いのではないでしょうか?

 

今は多くのメディアでも活躍し、どちらかと言うと好感度を持たれているであろうタレント的な、元IT長者の有名が発言がありました。

人の心も金で買える

当時の彼からすれば、そのように思えたでしょうし、もしかしたら今も根底ではそのように考えているところもあるかもしれません。

あながち違うとも言い切れない場面は多く存在する事も事実です。

 

しかし心理学的に考えますと、それは浅はかな考え方であるといわざるを得ません。

人の心はそこまで単純なものではなく、お金さえ払えば心も買えるというわけでは無いのです。

それを証明する実験をしたアメリカの心理学者がいます。

 

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作業の内容に不相応な報酬に対する人の心理

最初に実験の対象となる学生達を集め、3つのグループに分けます。

3つのグループは以下の様な区分けをします。

グループ1:報酬なし

グループ2:報酬は1ドル

グループ3:報酬は20ドル

そして彼らに大して面白くも無い単純な作業を与えて、1時間続けて作業をやってもらいます。

この実験では、3つのグループに同じ作業をやってもらっていますが、実はグループ毎に「報酬」だけが違うのです。

 

そして作業が終わってから、「この作業は面白い」と他の学生達に伝えて、これから作業を行う学生達に期待感を高めて欲しい、と依頼をしました。

 

さて、実際には大して面白くも無い単純作業をやらされ、それを「面白い」と周りに伝えるという依頼を受けた学生達にはどのような傾向が見られたと思いますか?

 

 

報酬額が高いだけでは動かない人の心理「認知の不協和」

他の学生達へ「この作業は面白い」と伝えてもらった後で、実際はどのように感じていたのか、それぞれのグループに感想を聞いてみたところ、以下の様な回答になりました。

そしてこれがこの実験の真の目的でもありました。

 

1.報酬なしのグループ

別に面白くはなかった。
どちらかと言うとつまらなかった。

2.報酬1ドルのグループ

多少は面白かった。
つまらなくはなかった。

3.報酬20ドルのグループ

別に面白くもつまらなくもなかった。

 

この実験の目的は、実際に作業をしてもらう事ではありませんし、その作業について「面白い」とPRしてもらう事でもありません。

報酬額に対しての心の動きを調査する事が目的の実験だったのです。

 

各グループの回答からもわかるように、少なくとも報酬額と仕事の内容が面白く感じるか否かは連動していません。

とても単純な実験ではありますが、報酬額が多いからと言って「面白い」という感想にはなっていない事がわかるかと思います。

 

これは「この作業は面白いと他の学生達へ伝えた」と「実際にはつまらない単純作業」という、自身の認知の間に不協和が生じたために起きた心理現象になります。

 

 

心に動きがあったのは作業内容と報酬の釣り合いがとれたケース

この「認知の不協和」が生じると一般的には不快感を催すことになるのですが、ここで報酬額の多さにより各グループ毎の感想に変化が見られたのです。

 

報酬をもらっていないグループでは、「認知の不協和」が生じたため、そのまま「つまらなかった」と感想を述べています。

報酬20ドルをもらったグループには、「お金の為に嘘をついた」という気持ちが生じてしまったために、「認知の不協和」に対して、「実際にはつまらない単純作業」という考えを変える必要はなく、「どちらでもなかった」という感想になってしまったのです。

最も報酬を得たグループの答えが「面白かった」と感想を述べていないことにより、報酬の多さだけでは人の心は動いていないことがわかります。

 

そして、報酬1ドルをもらったグループでは、「認知の不協和」が生じたことに対して、報酬はもらっているが1ドルでは割り切れない心理が働いたために、「多少は面白かったのだ」と自身の認知を変更してしまっています

つまり心が変化したと言えるわけです。

 

この事からも、人はお金さえ払えば満足するのかと言うとそうではなく、むしろ作業内容と報酬額のバランスにより、満足度が変化するという事が言えそうですね。

 

そして、人の心が動くときとは、お金の額で動くのではなく、お金に対して自分自身が納得した何かを得たときに動く、という事が言えそうですね。

 

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