いじめっ子はアドレナリンとノルアドレナリンの分泌量の差が少ないそうです。
つい先日(2017年10月)、
小・中・高・特別支援学校における、いじめの認知件数が発表されました。
文部科学省の調査速報として、公式に発表された数字です。
平成28年度
小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は・・・
323,808件(前年度 225,132件)
参考までに、平成21年度だと約73,000件でした。
しかし、生徒が自殺した後で、はじめていじめが認知されることも多く、
残念ながらこの数字を鵜呑みにすることはできないようです。
そう考えますと、「いじめ」の実態はかなり深刻な状況であると言えますね。
いじめが生じる原因のひとつとして考えられるのが
「スケープゴート理論」です。
白いヤギに人間の罪や苦難を背負わせて荒野に放す習慣があった
(『旧 約聖書』レビ記第16章)ことに由来するもので、
アメリカの人類学者へンリーが
「家庭の平和は家庭内の一人が犠牲者になることによって成り立っている」
と主張しました。
また、ある集団が危機に直面すると、
欲求不満を解消しようとして
特定の人物が非難や攻撃の対象とされる現象が起きることもあります。
これを「フラストレーション攻撃仮説」と言います。
歴史上、このフラストレーション攻撃仮説によって、
たびたび悲劇が起きました。
たとえば、
ナチズムによるユダヤ人迫害(経済破綻の原因がユダヤ人の陰謀と宣伝した)や、
スターリン主義下のトロツキスト(トロッキーを支持する人々) や
クラークと呼ばれる富農の弾圧 (大量粛清を行なって個人独 裁を実施した)。
日本でも関東大震災直後、
朝鮮人虐殺(朝鮮人が井戸に毒薬を投げ入れたというデマによるもの)が発生し、
罪のない多数の人の命が奪われました。
学校の場合、スケープゴートに選ばれやすいのは、
異なる習慣や趣味などを持っておりクラスに溶け込もうとしない生徒、
力が弱く攻撃しやすい生徒などが多いようです。
ただし、これはいじめられる生徒の方に問題があるという意味ではなく、
このように周囲が気に入らない、
力が弱い等の特徴を「ヴァルネラビリティ(被虐性)」と言います。
一対一でいじめが行なわれて
いるうちは、まだ周囲の生徒が止めることもできますが、
いじめる側の人数が増えていくと
「集団圧力」が生じて他人と違う態度を取りにくくなり、
いじめはしだいにエスカレートしていきます。
また、原因が「欲求不満の解消」にある場合は、
いじめられていた生徒が違うクラスへ移ったとしても、
新たな生徒がいじめの対象になり、いつまで経ってもいじめは収まりません。
この場合、大切なのは原因を取り去ることですが、
その原因が意外なところにあることがわかってきました。
それは別の記事で書かせていただきたいと思います。