人間は一番最初に見たものを高く評価する傾向にあります
第1印象がとても大事である事は、誰でも何となく知っている事ではないでしょうか?
社内や取引先において自分の評価を上げたいと思ったら、迷わずまず初対面の印象を良くする努力をしましょう。
なぜならば、第一印象が人の評価の大部分を決定づけてしまうからです。
心理学者のアッシュは、言葉で二人の特徴を示し、被験者にどのような印象を持つかを訊ねました。
A氏の特徴の伝え方
B氏の特徴の伝え方
2つの文章をよく読んでください。
実はこのA氏とB氏の特徴はどちらも全く同じで、単に紹介した順番が異なるだけなのです。
ところが被験者たちが持った印象はまるで別人の様なものとなりました。
つまり、最初によい特徴を示された場合には全体的によい印象を持ち、最初に悪い特徴を示された場合は、後から良い特徴を示されても悪い印象しか持たないということです。
初頭効果に付随する予測の自己実現という心理効果
このように、最初に提示された情報が全体の印象を左右してしまうことを、心理学では「初頭効果」と言います。
前項の例で言うと、A氏とB氏は全く同じ評価であるにもかかわらず、B氏については気の毒としか言いようがありません。
第1印象がいかに大事であるかは、この実験結果からもおわかり頂けるのではないでしょうか。
そしてこの「初頭効果」には、ひとたび第1印象が形成されてしまうと、それを覆すのはかなり困難であるという、とんでもないオマケが付いてくることになるのです。
そのオマケとは、「予測の自己実現」と呼ばれる心理的効果のことです。
たとえば、C課長は「A君には能力がないようだ」という第1印象を持ったとしましょう。
能力がない人(そう思い込んでいるだけですが)には重要な仕事は任せられませんから、雑用ばかりを押しつけることになります。
そのあげく第1印象を持ったC課長がA君に対する評価をこのように決め付けてしまうのです。
これはA君からすれば、かなり理不尽なことですが、これが初頭効果の怖さです。
更に、A君が汚名返上をしようとして頑張って大きな契約を取ってきたとしましょう。
それでもC課長の評価はこのようになってしまいます。
このように正当な評価をしてくれません。
予測の自己実現という自己保身の心理
なぜC課長の中でこのような理不尽とも言える評価をA君に下してしまうかわかりますか?
部下の評価を変えれば、「自分には見る目がない」と認めるようなものですから、C課長の考え方はそう簡単には変わらないのです。
それに対し「B君は優秀な人材」という第一印象を持った場合、C課長は重要な仕事を次々とB君に任せるようになります。
ますからA君よりも早くスキルを身につけることができます。
そしてその結果B君に対してこのような評価を与えるようになります。
しかも、B君は多少ミスをしても「誰だって一度や二度は失敗するものだ」と好意的に勝手に解釈してくれるのです。
よく「私の目に狂いはない」と豪語する人がいますが、それは心理的な視点から言うと、単に自分自身で誘導しているだけの結果でしかありません。
自分の見る目に狂いが無いのではなくて、それは「予測の自己実現」という心理による、自己保身だからです。
第1印象を悪くしておいて後で効果を出すギャップ効果
人は第1印象で失敗をしてしまうと、その後の正当な評価を得られるまでには、大変な労力が必要になる事は確かですから、
特に社会においては、第1印象を最重要視と言っても良いくらいに大事にする癖をつけておいた方が良いと言えるのです。
入学式、面接官との面接、勿論お見合い相手とはじめて会うとき、これら全て第1印象でその後の人生すらが変わってるかもしれませんよ。
但し、男女間においては「初頭効果」を知った上で、更に「ギャップ効果」という心理テクニックにより、一気に異性の好感度を上げる方法もあります。
これはその言葉の通り、最初の印象が悪ければ悪いほど、その後の優しさや気遣いが、通常の何倍もの好感度に変わるという心理効果ですね。
但し、予測の自己実現という心理効果はあるわけですから、男女間以外では、やはり第1印象を良くするように心掛けましょう。