高層マンションの高層階は、設備や夜景が素晴らしいけれど、それが人に優しいとは言えません。
昨今、
東京の様な大都会だけではなく、
地方都市にも超高層マンションが建つようになりました。
一般的に高層マンションは、
上層階に行けば行くほど価格が高くなり、
しかも購入時の倍率が高くなるそうです。
たしかに、
高層階の眺望は素晴らしいですし、
「ほかの住人よりも高い(金額的にも地理的にも)ところに住んでいる」
というステイタスも味わえます。
しかし、奥さんが妊娠していたり、その後の子育てのことを考えると、
あまり高層階はお薦めできません。
たとえば、東海大学医学部の調査によると、
10階以上の高層階に住むお母さんの産んだ赤ちゃんは、
5階以下の低層階に住むお母さんの赤ちゃんよりも、
頭が大きく体重も重い傾向があるため難産の率が高く、
流産経験者も多いことがわかったそうです。
さらに、
高層階に住んでいる子供は、標準より肺活量が小さく、
低体温でアレルギー疾患になる率が高いこともわかっています。
この理由として考えられるのが、
「高層階に住んでいると、外出する機会が少なくなる」ということです。
とくに、
数年前にエレベーター事故が多発してから、
この傾向はさらに強くなっているようです。
部屋に閉じこもっていると、どうしても運動不足になるため、
母子にこのような影響が出ると考えられています。
東京大学医学部が高層マン ションに住む六歳以下の子供たちを対象に、
「自分で洋服を着ることができますか?」と聞いたところ、
「できる」と答えた子供の割合は、
低層階(5階以下)では79%だったのに対し、
高層階(6階以上)では半数以下の48%に留まりました。
また、
「靴が自分で履けますか?」という問いに対し、
「履ける」と答えた子供の割合は、
低層階が82%に達したのに対し、
高層階はその六割程度の48%でした。
このほかにも、9つの質問が行なわれましたが、
そのすべての項目で、
高層階に住む子供のスコアは低層階の子供より低くなっており、
「高層階に住んでいる子供は、低層階の子供と比べて自立が遅れがち」
ということが明らかになりました。
これも外出の頻度に関係があります。
前述の通り、外出する機会が少ない高層階の子供は、
どうしても母親との密着度が高くなります。
そのため、
生活習慣でも依存することが多くなり、自立が遅れてしまうというわけです。
また、
米山恭子医師の調査によると、噛み傷で来院する子供たちの数は、
この十年間で四倍。
米山医師が「誰に噛みつかれたのか」を調査したところ、
多くが高層階に住んでいる子供だったそうです。
これは部屋に閉じこもりがちになることが、
子供にとって大きなストレスであることをあらわしています。
子育てに悩むお母さんが増えていますが、
もしかしたらその原因は、
住環境ー高層マンショ ンが増えているところにあるのかも知れません。
金銭的・地理的な制約はあるでしょうが、
子育てするなら5階建て以下の低層マンションか、
一軒家に住んだ方が安心かも知れません。